シベリア・大導師メッセージ

此の地に眠ります日本国の旧陸軍の兵隊さんたち、および第二次大戦後、此の地に抑留されて亡くなった日本のかたがたのお霊に謹んで申し上げます。
皆さん、長い間、本当に辛かったことでしょう。
長い間、どれほど苦しんだことでありましょう。
本当に申し訳ありませんでした。心からお詫び申し上げます。
しかし、今、ようやくお迎えに参ることが出来ました。皆さん、ご一緒に日本へ帰りましょう。私は、日本の阿含宗という仏教教団の僧侶であります。桐山靖雄と申します。
私はお釈迦様が教えられた成仏法を修行して、これを体得した僧侶です。
これから、渾身の力をこめて、弟子たち一同と一緒に、皆さんの成仏のための修法を致します。
皆さん、様々な思いがお有りでしょうが、すべての存念を振り払い、清々しい気持ちになって、私たちと一緒になつかしい故国日本へ帰りましょう。私が先導致します。
帰国のための飛行機を用意致しました。
せまい処で申し訳ありませんが、皆さんが鎮まりますお社を飛行機に積んでおります。
此の中にしばらくお休み下さい。数時間でなつかしい故国日本へ到着します。
そこで、皆さんを家族のかたがたにお引き渡しする予定であります。皆さん、お喜び下さい。
私も今日の日を迎えて心から喜んでおります。
目には見えませんが、皆さんの喜びが、私の胸に諄々と伝わって来ております。
皆さんよかったですねえ。
最後に私の拙い俳句を一句捧げます。ご笑納下されば幸甚です。
秋風に傷心の身をさらすのみ
−シベリアの原野を吹きわたる風にわが心−
−そぞろに寒し秋にはあらねど−
桐山蝸牛

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(C) Agonshu